Ⅰー58 優しく甘いモノ、(胃の)4分の1は空けておく。そしてシヴァの喜びのために食べる。これが節食と言われるものである。
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』より
ヨガをする人の食事に決まりはあるのでしょうか?
ヨガは、統合的に肉体と精神を整えるので、もちろん食についても重要視しています。
「〇〇が身体にいい」とか、「〇〇が病気に効く」とか、わたしたちは日常、とにかく何かを摂取するように勧められますが、ヨガでは逆です。
楽健法の山内宥嚴先生から「病気になったら何を食べたらいいんですか?とよく聞かれますが食べなければいい。一週間も食べなければ、大体の病気は治るんだよ」と聞いたことがあります。
16世紀ごろにできたとされるハタヨガの経典、『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』によるヨギーの節食についての項が、今のわたしたちの日常にとても参考になります。
身体が喜ぶ新鮮なモノを食べよ
甘く優しいモノと書いてありますが、身体に良く快く感じる食べ物ということで、砂糖をたくさん含む食べ物というものではありません。
砂糖は、精製されているために、血中に取り込まれるのがとても速く、血糖値が急上昇します。
そのため、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌され、低血糖になり、今度は低血糖を元に戻そうと、アドレナリンが大量に分泌されます。
集中力がなくなったり、キレやすくなったりといった、精神的な症状がでてきます。
これは、甘くても、身体に優しくないものだというのは明らかです。
この本の中では、具体的にどういうものを食べたらいいのかかも書かれていますが、時代も違えば、地域も違うのし、個人個人での体格や好みの問題もあるので、正直あまり参考にはならないかなと。
その土地でとれた新鮮なものを、あまり極度な加工をせずに食べたらいいのではないかと思っています。
腹五分目で食べよ
日本では「腹八分医者いらず」と言いますが、ヨガの経典の中では、「胃の4分の1は空けておく」と言われます。
食べ物は腹半分、4分の1は水、そして残りの4分の1は空けておくという事です。
しっかり食事をとっているわたしにとっては、かなり物足りないような気がしますが、きちんと消化してエネルギーとして使いきれる分はもしかしたらこのくらいかもしれません。
食べすぎると、身体が重くなり、眠気、だるさが起こります。
それだけならいいですが、肥満や糖尿病、心臓病など、大きな病気にかかるリスクも増えます。
世界的に見ると、食べる物が限られている国があることも考えれば、自分だけが独り占めしていることとなり、ヨガでいうアステーヤ(盗まない)に触れてしまいます。
なので、腹5分目を食べるのが望ましいのです。(わかっていても難しい!!!)
健康な身体を維持するために食べよ
シヴァ神の喜びのために食べる、というのは、全くピンとこないのですが、解説によると要は「食べること≠楽しみ」ということだそうです。
グルメ番組はたくさんあり、趣味が食べ歩き、とか、スイーツを食べることが喜び、とかありますが、そうではなく、「ヨガを行うため、人のために働くために健康な身体を維持していかなければいけないから」食事を摂る、という考えなのです。
なので食べ歩きをする、大食いをする、おしゃべりをするなどは、推奨されていません。
この本の解説者、成瀬貴良先生によると、食べ物の好き嫌いがたくさんある人は、性格的にも偏りがあるといわれているそうです。
確かに、好き嫌いが多い子どもが、大きくなるにつれて何でも食べられるようになっていく様子を見ると、性格的にも丸くなっているような気がします。
わたしは、この部分を読んで、「食べる瞑想」を思い浮かべました。
食べる時は、あれこれ他の事をするのではなく、目の前にある食べ物を、五感で十分に味わい、感謝していただくことが大切なのかなと思います。
まとめ
ヨガの食べ方の基本は、節食です。
新鮮であまり加工されていないものを、腹5分目、健康な身体を維持するために食べましょう。