ギー、という油があります。
ギーは、バターにとても似ているのですが、牛乳を発酵させてからできる発酵バターを煮詰めて、水分やたんぱく質を除いたものです。
南アジアでは小さなマーケットでも、手作りのギーがよく売っていて、作り手によって少し味が違いました。
牛のミルクだけでなく、水牛やヤギなど、いろいろなミルクから作られている上に、家庭で発酵させるから、さまざまな味になるのでしょう。
もちろんカレーに使います。
ただ、アーユルヴェーダやプージャでも使う事を考えれば、とても神聖な油というのがわかります。
ギーの栄養素
ギーは、水分がほとんど含まれず、乳脂肪分が99.8%となっています。
その中に、α-リノレン酸が豊富に含まれています。最近、アマニ油やえごま油でよく耳にするようになりました。
α-リノレン酸は、体内で作ることができず、食事のみで摂取できる必須脂肪酸であるオメガ3の一つです。
オメガ3は悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる効果が期待されています。
さらにギーにはビタミンA(カロテン)、ビタミンD、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンが豊富に含まれています。
ギーの作り方
南アジアでは、家庭で作るというのがまだまだ主流のようです。
常温で保存できるので、冷蔵庫がない家庭にとっては便利です。
パキスタンでわたしが教えてもらった作り方です。
平たい容器にしぼりたての牛乳を入れておいておくと、次の日に上に膜が張ります。これをそっと集めたものがマライ(クリーム)です。
そのクリームに氷水を入れ、木製の泡だて器でよく攪拌すると、個体と液体が分離し、個体がバターとなります。
さらにそのバターを火にかけ、じっくりと煮詰めていき、最終的に布で濾したものがギーとなります。
なので、二日かかって作られます。
ちなみに、布にのこったものは、甘いお菓子の材料になると聞きました。
「せっかく濾過したのに、不純物も身体にいれるんかーい」と思わずツッコミ。
ギーの美味しい食べ方
正直、バターに慣れているわたしにとっては、香りのないバター、という感じがしてしまいます。
なので、トーストにギーというのはいまいちかもしれません。
でも、ナーンにギーはおすすめです。もちろん美味しいカレーと一緒ならとても合います。
わたしは、子どもをパキスタンで出産したのですが、他のパキスタン人の子どもに比べて小さかった娘を見て、周りの人たちに「ギーを食べさせなさい」、とよく言われたものでした。
産後の食事も、子どもの離乳食も、豆のスープ(ダール)にギーを入れたものをすすめられました。
とにかく栄養があって、滋養にいいもの、という印象を受けました。
でも、カロリーはめちゃくちゃ高いので、現地の産後のお母さんたちが痩せない理由がよくわかります。
適度な摂取が身体にいいんでしょう。
もう一つ、おすすめなのが、ギーで焼くフレンチトーストです。
これはなぜか子どもたちが大好きで、バターよりもギーがいい、と言っていました。
まとめ
ギーは、α-リノレン酸やビタミンA(カロテン)、ビタミンD、ビタミンEなどの脂溶性ビタミン豊富に含まれていて、常温で保存できます。
カロリーは高いので、ほどほどに摂取するのがいいでしょう。
おすすめはギーで焼くフレンチトーストです。